プリント基板品質考~① VIAの穴ずれについて~

このコラムでは、基板の様々な問題について、弊社の過去の経験等に基づきその原因、対策等をご紹介します。

今回は、その第一回目として、傾向性の有るVIAの穴ずれについてのお話しです。(この問題には、傾向性の有る場合と、傾向性の無い場合とが有りますが、同じ穴ずれでもその原因は、全く異なりますので、本項では、先ずは傾向性の有る場合を取り上げます。)

まず、この穴ずれについて、どの様な実害が有るかですが、穴ずれの程度が大きくなると、主に微小なVIAやランドの座残りの狭いVIAで、最悪ランドの座切れが発生する可能性が有ります、また、仮に座切れに迄は至らずとも製品の長期信頼性にとっては、大きなマイナスとなります。

では、この様な問題が何故起こるのでしょうか、主な原因としては、以下の様なものが推測されます。

①穴あけ加工プロセスの問題・・・穴位置ずれの大半は、こちらでは無いかと思われます、具体的には、穴あけ加工時のワークのセット時にワークそのものがきちんと揃えられず、ずれが発生するケースや、重ねたワークの下や間にキリ粉等の異物があるケース等が有ります、このモードは、そのメーカーの工程管理能力が現れ易い傾向が有り、余り頻発する様で有れば、お客様とメーカーとの力関係にも依りますが即効性の有る対策は少し難しくなるかもしれません、マメにメーカー担当者に対して、改善を求めるか、座切れの頻発等が有れば、思い切って転注を検討しても良いかも知れません。

②基材の反り・・・作画、穴あけ加工共に問題が無くとも、元々の基材が反っている可能性も有ります。(ここで、注意が必要なのですが、穴あけ加工の後に、熱履歴や、出荷前の反りの矯正等が有るため、穴あけ加工時の基材の反りが、そのまま完成した基板の反りに反映されない事を知っておく必要が有ります。)
反りの原因にも複数の原因が考えられ、基材の種類や厚さ、材料の保管状況等による反りの発生が考えれますが、材料変更が難しければ工場訪問時等にその辺りを意識的にチェック、指導するしか無いかもしれません。

③フィルム作画時のミス・・・これは、ランドやパターンに対して穴ずれが発生したのとは逆にフィルム作画がまずくランドやパターンの方がずれてしまったというケースで、実は、一見ずれて見える穴位置が正しいという事になります、対策としては、作画時のデータ補正やシーズニングの条件、リピートの場合は、フィルムの保管条件に問題が無かったかの確認を行い、問題が有ればメーカーに修正を相談して見て下さい。

以上、あくまで弊社の経験によるお話しですが、同様の問題でお悩みの方のご参考になれば幸いです、ご不明の点等が有ればお気軽にご相談下さい。
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