このコラムでは、基板の様々な問題について、弊社の過去の経験等に基づきその原因、対策等をご紹介します。 今回は、その第二回目です。 プリント基板のVIAの穴ずれについて、前回のお話しで傾向性のある(穴位置が一方向に偏ってずれている)場合のお話しをしましたので、今回は傾向性の無い(穴位置のずれがに顕著な偏りが無い)場合について取り上げさせていただきます。 この種の穴ずれの場合、穴ずれそのものによる問題はもちろんですが、付随して別の問題が発生する可能性が高く、注意が必要と考えます。 座切れ等の問題については、傾向性の有るずれと同様の実害が有るものと考えられますが、それに付随して、VIAの壁面の荒れ(レジンスミア、基材の掘り起こし等)を伴う場合も有り、それによってメッキの長期信頼性が低下する事が懸念されます。 ①穴あけ加工機の問題・・・ドリルの選定の問題(ドリル剛性の不足や過剰な長さ等)、穴あけ加工機のチャッキングのゆるみ(加工機の老朽化、メンテナンスの不適正)等が有り、工場視察時等に十分な確認(メンテナンス記録や、研磨回数とHIT数のルール)が必要となります。 ②穴あけ加工のプロセス上の問題・・・ドリルの管理上の問題(研磨までのHIT数や研磨回数の過多等による精度の低下)、ドリルの回転数や送りの速度(早過ぎ、遅過ぎ)、切り粉の排出不良(ブッシュの摩耗、バキュームの強弱)、ワークの重ね枚数(多過ぎ)、エントリーボード・当て板の不適正、ワークセット時の固定不十分等など数え上げればきりが無い程の要素がからむ問題で全ての項目が一定の水準にないと良好な穴あけは出来ません、どの要因がに問題が有るか分かりにと思いますが、納得できるまでメーカーに確認する様にして下さい。(いろいろなメーカーに穴壁の断面サンプル:マイクロセクションをたくさん見せてもらえれば、メーカーのレベルが或る程度分かる様になって来ます。) この様に、要因を取り上げるだけでもかなり複雑で、分かりにくいお話しですが、一方で一般的な基板の場合、経年変化による故障の最大の原因がVIA(スルーホール)内壁のメッキのバレルクラックと言われており、いわば基板の最大のウィークポイントとも言える箇所に当たる為、この部分に慢性的に問題が発生する様なメーカーで有れば、長寿命製品の基板はあまりお願いしない方が良いかもしれません。 その為、弊社では穴あけ加工工程のレベルを工場選定の最重要ポイントと考えています。 以上、あくまで弊社の経験によるお話しですが、同様の問題でお悩みの方のご参考になれば幸いです、ご不明の点等が有ればお気軽にご相談下さい。
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